不登校・いじめを受けている子どもへの電話がけ
全国ICTカウンセラー協会 安川雅史
学校でいじめを受け学校を休んでいる子どもや不登校の子どもの対応をすると、だいたい最初は担任の先生が一生懸命電話をかけます。一生懸命電話をかけて、家庭訪問も何回か行きます。ところが、親の方から、「先生もういいですから、あまりかまわないでもらえますか。電話なんてかけないでくれますか」と言われ、電話もかけられなくなってしまいます。そして、その子との距離ができてしまう。来られない子に対して、いきなり誘いかけをしたら、子どもは2回目から電話を拒否します。親に電話がきても、「出たくない」と言うでしょう。そうすると余計に子どもとの距離ができてしまう。その子と会話もできなくなってしまうわけです。凧の糸と一緒で、先生方が誘いかけをやめた時点で、その子との関わりは切れてしまいます。そこから復活するということはありません。安川も高校で教員をやっていたことがあります。そのときは必ずアンケートをとっていました。「先生の名前は安川雅史だよ。みんなの名前も書いてね。先生は北海道上川郡の剣淵町というところの出身だよ。みんなはどこで生まれたの?先生の趣味は釣りだよ。みんなの趣味は、何?」全部キャッチボールにしたアンケートです。先生方も、特に保健室や相談に来た生徒と時間があるときに、「先生とちょっとやりとりしようか」とアンケートをとってみてはどうでしょうか。アンケートって面白いです。一方通行のアンケートではありません。キャッチボールのアンケートをとることによって、先生のことも分かってもらえるということがあります。それから、アンケートをとることで、この子はこういう話題だったら必ず乗ってくるなというのが分かります。この情報を得るということは大切です。さらにアンケートをとるときに、「何かあったときの連絡先として、携帯番号を書いてね」と書いておきます。不登校の子どもの場合、自宅に電話をかけると親に聞かれているので、なかなか本音を話せないのです。携帯電話だと、自分の部屋にこもってコソッと話せます。親に話せない内容でも話せるということがあるのです。また、自宅に電話をかけた場合、立ったままの状態で電話に出ます。これは不安定状態になります。携帯電話にかけた場合、自分の一番リラックスできる状態で、携帯電話に出られるわけです。安定している状態なので、思っていることをちゃんと素直に心の中でまとめて話ができるということがあります。さらに、「明日からでも学校においで。1時間でもおいで」という誘いから入ってしまうと、電話に出られなくなってしまいます。つながりがなくなってしまうのです。まずは心配だという気持ちを、必ず最初に伝えてください。それから、子どもの名前を必ず呼ぶ。そして、その子の得意なことを話題にする。自分の得意なこと、話したくてしかたない話題を振られているわけですから、必ず子どもの方から返事が返ってきます。「おいで」という一言はいりません。次に電話をかけたとき、学校の番号が表示されてもすぐ出ます。それを毎日繰り返していくと、今度は電話が子どもにとって楽しみになるのです。家庭でも同じです。家庭の中でも学校の話題から入るとどうなるか、想像がつきますね。つまり、こういう話題だったら、乗ってくるというところから振っていけばいいだけのことです。この電話でのやりとりを普段から繰り返し行っていくということは、子どもとの信頼関係をつくっていることになるのです。信頼関係をつくっていくとどうなるか。今度は子どもの方から「実はこういう理由で学校に行けないんだよね」と本音を話すようになってきます。中には、自分で行けない理由が分からなかったとしても、先生を信頼して話していく中で、何となくその理由が分かってくるケースもあります。今までの先生方というのは、その子が学校へ通えない理由が分からないのに、とにかく「学校においで」から入っていたのです。その場合は大体、失敗しています。順序を追って信頼関係ができると、子どもの方から話をしてきます。先生方が子どもから直接理由も聞かないで、「理解している」というのはほとんどが親から聞いた内容で、この子は、「たぶん、こういう理由で不登校になっている」というものです。または、クラスメイトから聞いた理由。それは、はっきり言って外れています。子どもと実際に会っていろいろ話をしていくと、「まったく別な理由で行けなかった」というようなことがけっこうあります。先生方も、まずは本人から聞かなければならないのです。本当のことが分かっているのは本人ですから。だから、一番大切なのは、その子と連絡をとることです。先生方の中には、手紙を書くという方もよくいるのですが、不登校の子どもは手紙の封は開けません。先生方は手紙を送ると、それで安心してしまいます。手紙を書いたから、読んでくれているだろうと思っているのです。子どもは不安な内容は読みません。そのままになって、手紙だけがボンボン積み重なっています。しかし、今の子どもたちは手紙は読まなくても、メールは読みます。メールアドレスが分かっていれば、メールで連絡をとるという方法もあります。子どもたちは、迷惑メールでも、嫌がらせのメールでも、いじめのメールでも読みます。つまり、先生から来たメールも、読むのです。メールを送るときも電話での対応と同じです。まず、その子の名前を連呼するということが大切です。それから、電話と同じ口調で、その子がこの話題だったら乗ってくるなという話題にまず触れていくことです。もうひとつあります。メールの場合は、できるだけ質問事項を付けてください。クエスチョンマークです。自分にとって不都合な質問以外は、返信が返ってきます。人間はメールの場合、拒否反応が少ないのです。メールで連絡をとり合うということもひとつの方法です。しかし、自分の携帯番号は使わないでください。できるだけ学校のメールアドレスから送ってください。不登校の子どもと自分の携帯でメールのやりとりをしてしまうと、昼夜逆転しているような子どもですから、夜中の2時、3時でも、平気でメールが来ます。それに対して、すぐ返信が来なかったら、それだけで不安定になってしまう子もいます。「この時間は授業が入っていなくて空いているから。返信待っているよ」と初めから子どもに伝えておいた方がいいです。「この時間からこの時間の間は、先生は空いているから、返信できるよ」ということで。子どもから返信がきたら、その内容をよく見ることです。最近の子どもは、絵文字とか顔文字とかデコメとかテンプレートとかを使ってメールを送るのです。子どもらのメールに対してはデコメにはデコメで、絵文字には絵文字で返してください。普通の文章で「分かった」とか「了解」と返すと、嫌われていると子どもは思うのです。デコメにはデコメで返してあげると、子どもの返信はすぐにまた来ます。そこからまた信頼関係をつくっていくという方法もあるわけです。メールというものは、いじめの道具にもなりますし、不登校の子どもを誘い出す方法にもなっていくわけです。全国webカウンセリング協議会の研修会では、不登校児への電話のかけ方についても詳しく学べます。
安川雅史の「子どもの話を聞くときの注意点」
1.アナウンサーのような聞き方はしない。アナウンサーは、最初だけあいづちを打つが、後は、ほとんどあいづちを打たない。これは、次の質問を考えているからである。普段子どもとの会話でこのようなことをすると必ず子どもを怒らせてしまう。
2.でも、なぜ、どうして・・・など逆接や疑問符のついた聞き方は避ける。
例)子どもが「何か憂鬱だな~」と言ったとき「なぜ、憂鬱な気分なの?」と聞き返すより「憂鬱な気分ってどんなことかな?」と聞いたほうがよい。この聞き方は、「私もその話を聞きたいなー。」と言う援助的質問で本人は話しやすくなる。
3.繰り返しは、効果がある。他者からくり返し言われることにより自分の言葉を再確認する。例)「本当に驚いたよ」と言われ「へー、ビックリしたんだ」と返すのは、繰り返しではない。驚くとビックリするは、イコールではない。
4.言葉は、言語・準言語・非言語の3つからなる。
準言語とは、音声、話す速さ、抑揚。非言語とは、表情、動作、目線、服装など。
言葉を相手がどのように受け取るかは、言語が7%準言語が37%非言語が55%その他が1%である。(例)顔が笑っていても目が笑っていない。目つきだけで、「ガンつけたなー」と喧嘩がはじまるくらいである。「目は、口ほどにものを言う」と言うことわざもある。
5.子どもの話を聴くとは、耳を傾け、積極的に正しく聴き取ることである。
6.子どもの話を聴くときは、子どもの左隣に座って少し前傾姿勢で話しを聴く。
しっかりと子どもの話にうなずくことが大切である。子どもは、おかしなことや責める言葉ばかりいってくるが、反論せずにしっかりうなずきながら、話を聴き、悪いと思ったことは、素直にあやまることが大切である。どうしようもないことを質問されたり命令された場合は、「少し、時間をくれる」と言って即答を避ける。
子どもたちにみられる精神的障害について
安川雅史
1.過呼吸・・・緊張や不安、恐怖、過度のストレス等、感情の高まりで、発作的に呼吸を早く繰り返してしまう。その結果、血液中の炭酸ガス(二酸化炭素)が極端に減って、血液がアルカリ性になり、筋肉や神経に異常をきたす。うまく呼吸できず、時には、四肢が硬直し、失神することもある。1度おこすと、何度も繰り返すことが多い。
対処法 ペーパーバック法(紙袋を口にあて呼吸させる方法)、抗不安薬、息をコントロールして深呼吸する。根本的には原因となる不安や恐怖、ストレスを取り除かなければ治らない。
※ 脳の病気であるパニック障害の人にとっては、炭酸ガスはパニックを引き起こすもとになってしまうため、ペーパーバック法を行うのは大変危険である。
2.トラウマ・・・生活上のある体験を原因とする重い心の傷。精神的な外傷であり、一般に「心的外傷」と言われている。震災、交通事故、レイプ、児童虐待といった、自からの処理能力を超えるような強烈な体験をした場合、心は、その体験から身を守るために、それを瞬間的に冷凍してしまう機能を持っている。それにより、「とりあえず、ひとかたまり」として、心の他の領域におさめられる。「瞬間的に冷凍された状態」は鮮度を変えることなく保たれている。しかし、何らかの理由で冷凍されていた体験が解けた場合、非常に生々しい形で心の中に侵入してくる。
3.PTSD(心的外傷後ストレス障害)・・・心的外傷(トラウマ)を受けるような体験をした人が、その体験が心の中に侵入してきて、それを原因として発病する病気のこと。事故による負傷、戦争などの恐ろしい出来事、不可抵力とされる自然災害などに引き続いて、フラッシュバック(再体験)がおこる。これを生み出す、ストレスの原因は、人に著しい苦痛を与えるものであり、それを体験すると通常、強烈な不安や恐怖、無力感が生じてくる。と言われている。
4.アダルトチルドレン・・・傷ついた心を持ったまま大人になった人。家族内トラウマの後遺症。アルコール依存症の親から、暴力を振るわれるなどの虐待を受けたり、現場を目撃するなどの辛い体験をした子が大人になって心の傷のために苦しむ人たちを総じてA.Cと言う。
① 自分を受け入れられない。「あるがままの自分」を受け入れられず、誰かに必要と
される時に自分の存在が確認できる。漠然とした不安のため自分を追い立てるように努力し、常に、自己否定感がある。「生まれてきて良かったのだろうか?」と自分を大切な存在に思えない。
② 自分の欲求がわからない。周囲の期待や要求に反心して行動してきた為、自分の欲
求や感情がわからない。自分と相手の境界が認識できず、相手の望むことを自分の要求のように感じる。
③ 本当の自分を主張できない。主張することで相手の拒否を恐れ、自分の欲求を主張
出来ない。相手の要求に、NOと言えなかったり、逆に相手を威圧的にコントロールしようとしたりする。
■アダルトチルドレン行動の問題点
① 漠然とした不安・・・何をしても満たされない。自分の存在価値への疑問、自己否
定、意味もなく、いつも不安を抱えている。
② 人間関係・・・DV(ドメスティック バイオレンス)などの暴力的な環境から抜けられない。見捨てられる不安から相手にしがみつき、その結果関係を崩壊させる親と同類の依存(アルコール依存等)を持ったパートナーを選びやすい。YES、NOをはっきり言えず相手につけ込まれる。
③「無理をして頑張ること」に生きがいを感じている。自分を追い詰めるほどに何かに努力しても満たされず、成果をもたらしても、一時のゴールであり、次のゴールを目指して頑張り続ける。自分を犠牲にしても相手に奉仕し自分を甘やかしてあげることが出来ない。「楽しみ」でさえ罪悪感を伴う。
5.LD(学習障害)・・・基本的には、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く・話す・読む・計算する。など特定のものの習得が著しく困難を示す。まわりの状況や人の気持ちを理解出来にくく、友達と上手に付き合うことが困難。その原因として、中枢神経に機能障害があると推定されている。
6.ADHD(注意欠陥多動性障害)・・・脳の仕組みや動きの微妙な障害を原因とすると言われ、注意集中困難(他のことに気をとられ、課題が長続きしない。)衝動性(遊びなどの順番を待つことが出来ない。トラブルのもと)学習(アンバランスな知的発達。鋭い感性や実行力を持つ人もいる)性格(人なつっこくて親しみやすい。意外と臆病で不安が高い。
①過活動②不注意③衝動性の3分野の症状が現れるものを言う。
7.退行・・・発達段階のある時点で満たされないものがあり、その時点に戻ろうとする。発達段階のその時点に「固着」していると言える。主に生後15~24ヶ月の練習期という段階で乗り越えられなかった分離不安が心にこぶりついているために、精神的なストレスに遭遇したりすると一気に、この段階へと退行してしまいます。重症の人の場合、赤ちゃんがえりの退行が、症状そのものとなって表れている。退行することで精神のバランスを保っている。赤ん坊のように抱いてもらいたいという願望が性的な行動となって表れる。トイレットトレーニングで失敗を重ね、親にしかられ、恥かしい思いをしたことでSMの世界、羞恥プレイなどと言ったことに快感を見出す。トイレットトレーニングを失敗したことにより処罰が強すぎると、排泄への強い抑制が働く、ケチな節約家になったりする一面もある。
8.発達障害・・・何らかの器質要因、心理的、社会的要因により、正常な発達が阻止されている状態(大多数は先天的)精神遅滞、脳性まひ、自閉症、てんかん、ダウン症、アガペルガー症、多動を伴う注意欠陥障害は、行動障害。基本的な病像は、認知、言語、運動又は、社会的技能に大きな障害がある。
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